ボーエン(Bowen)病

【ボーエン病:ぼーえんびょう】

ボーエン病は皮膚の表層である表皮の有棘層で発生する表皮内癌の一つです。いわゆる皮膚癌である有棘細胞癌と違って表皮より深い部位である真皮やリンパ節などへは原則転移せず、表皮の中にとどまっている前癌状態ととらえれる表皮内癌という分類の腫瘍です。ただし、長年放置することで表皮を超えて真皮より深い部位に腫瘍が達するとボーエン癌となり、いわゆる皮膚癌の状態になるため転移や命に関わることもありますので、初期の診断治療が大切です。

Bowen(ボーエン)病の症状

中年以降に多く、若い人では稀です。赤くざらざらガサガサとしたコインくらいの大きさのわずかに盛り上がる皮疹で湿疹の症状とよく似ていることも多く、ステロイドによる湿疹の治療をしても改善しない場合は強く疑われます。長期間放置していると、大きくなりもこもこと盛り上がる部分やただれが見られるようになることもあります。表皮内癌のうちに診断治療を行うことが大切になりますので、疑わしい症状や治療に反応が乏しい湿疹などがある場合は、早めの受診をお勧めします。

他の皮膚がんと同じく紫外線・ヒトパピローマウイルス・やけどの傷跡などが要因としてあげられますが、特に多発するボーエン病ではヒ素の長期摂取が背景にあることが知られています(昔は水道水の代わりに井戸水を日常的に飲水されている方で井戸水に含まれる微量のヒ素により生じるケースがみられることがありましたが、現代では非常に稀です)。

Bowen(ボーエン)病の治療

表皮内癌であるうちに手術で切除することで治癒が見込める腫瘍です。病変の縁から数ミリは離して皮下脂肪のレベルまで深さもしっかりと切除し、切除した標本で取り残しがないことも確認します。サイズが大きく縫合が難しい場合は、植皮が必要になるケースもあります。クリニックレベルでの根治手術はできませんので、適切な医療機関と連携をとりご紹介の上治療をしていただきます。

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