【尋常性疣贅:じんじょうせいゆうぜい】
‘ウイルス性いぼ’は尋常性疣贅という病名で、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが皮膚の表面の角質で増殖してできたイボのことです。
お子さんにもよく見られますが大人でも見られる、足の裏や手足の指にできることが多いいぼです。角質の中でウイルスが増殖するため魚の目のような硬い角質の塊として感じることも多いかと思います。お子さんでは魚の目ができることは稀で「足にうおのめができました」と言ってこられるお子さんではほとんどの場合が尋常性疣贅です。大人の場合は魚の目もできやすく自覚される症状は似ているのでしっかりとした鑑別が必要です。手足にできるいぼの多くは2‐5ミリくらいの大きさの丸い角質の塊で痛みは伴わないことがほとんどですが、大きくなると体重がかかることで痛みが出る場合もあります。魚の目のようにみえますが、よく観察すると硬い角質の塊のなかに小さな黒い点々がみられるのが特徴で診断の要になります。顔や首など皮膚の角質が薄い部位では上に盛り上がって角状に見えるものが多く、角質の厚い足の裏などにできるものでは上に盛り上がらずに中に向かって角質の塊が大きくなりやすいです。奥に向かっておきくなるタイプでは、押すと強い痛みを伴うもの(ミルメシア)もあります。
尋常性疣贅はご自身の免疫力で自然に治ることもあるのですが、ウイルス感染症の一つですのでウイルスが増殖してどんどん大きくなってしまったり、周りにどんどん増えてしまうととても治りにくくなるため、小さいうちに治療して治してしまうことをおすすめします。
治療は、保険適応のある液体窒素という-196度の液体を含ませた綿棒を当てる治療になります。一度で治らないことがほとんどで1-2週間に一度の通院治療を数か月続けていただくことが多いです。難治なものも多く、場合によっては半年~年単位の治療が必要になることもあります。治療が長期に及ぶケースも多いのですが頑張って継続していただくとある時から急にご自身の免疫が活性化されて急に小さくなることも多いですので、あきらめず継続して治療をしていくことをおすすめします。レーザー・注射などの保険外の治療もありますが、痛みを伴ったり再発しやすいなどもあり当院では保険適応の治療を行っています。
ご自身の免疫反応が急に働くようになり、長年治らなかったイボが急に治ることも珍しくありませんので、今以上大きくならないように、増やさないように、という効果もありますので、諦めず治療を継続されることをおすすめします。同じメカニズムと思われますが、ずっと治らなかったイボが、先生をかえたら急に治ったということもよく経験します。何年も治らなかったイボが、先生の液体窒素を当てる技術のみで1-2回で治るということはありませんので、おそらくご自身の免疫が急に働くようになり、イボが消退したと考えられます。(もちろん液体窒素の治療にもコツや技術は必要なのですが長期間治らないイボを液体窒素数回で治すようなものすごいコツはありません)古くからイボのお祈り療法というものもり、これも治そうという気力による免疫反応のアップによるものかもしれません。ただし、お祈りだけでは治らないことがほとんどですのでぜひ通院治療も併用してくださいね。
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