【蕁麻疹:じんましん】
じんましんは、突然蚊に刺されたような‘もこもこ’ともりあがる痒い皮疹が、でたりひいたり場所を変えてくりかえす病気です。強いかゆみを伴うことが多いですが、ちくちくとした痛みとして感じたり、かゆみや痛みなどの自覚症状があまりないケースもあります。大きさも、3ミリほどの小さなものから500円玉くらいのものや、みみずばれのような線状にみえたり、世界地図のような形の大きなものまでさまざまです。
原因はさまざまなのですが、原因がはっきりと見つからない特発性といわれるタイプが実は一番多いのです。少し前にお熱や咳・鼻がでていたなどの風邪症状があったという方も比較的多く、何らかのウイルス感染や細菌感染や疲労が誘発するケースもあります。ほかにも、温度差、衣服の圧迫やこするような圧迫刺激、日光、内服薬、食べ物などが原因となることもあります。一般的には、食べ物のアレルギーが原因と思う方もとても多いのですが厳密なアレルギーが原因の方は実は皆さんが思っているよりは少なく、原因がはっきりしないケースが多いです。
痒いぶつぶつの一つ一つが、24時間以内(多くは10‐30分くらい)に消えて、また別の部位に形を変えて出るのが特徴で、診断根拠になります。皮膚のある全身に出没しうるので、実は1日の中で形を変えて出たり引いたりしているのですが、いろいろなところにずっと出没するため、1日以上続くと感じられる方も多くいらっしゃいます。
すぐに消えてしまうことが多く、診察の時にはきえていて、さっきまで出ていたのに、、、というパターンも多く経験しますが、症状がなくても受診してだくことで経過から診断がつき治療ができることも多いですので、症状がないからと受診をためらわずぜひご相談ください。
皮膚にとどまらず、のどや腸の粘膜にじんましんがでると粘膜が腫れてむくむため、息苦しさや腹痛が生じるケースもあり、全身の赤いぶつぶつと呼吸苦や腹痛が同時にある場合は、重症のじんましんのこともありますので、すぐに医療機関を受診されるようにしましょう。
稀に、原因がアレルギーの場合などでは、アナフィラキシーショックの状態になることもありますので全身に強い症状がある場合はなるべく早めにお近くの医療機関を受診しましょう。
抗ヒスタミン剤の内服が第一選択になります。症状に応じて、量や飲み方、組み合わせを工夫したり、難治の場合はほかの補助的な内服薬を組み合わせて皮疹が出ない状態を維持していきます。
温度差、摩擦圧迫などの機械的刺激、特定の食物のアレルギーなどの原因がはっきりとしている場合では、原因となる環境の改善や除去も並行して行うことが必要となります。原因の検索には、必要に応じて補助的に、採血でのアレルギー検査(※採血でのアレルギー検査は食物アレルギーの確定診断にはなりません)やプリックテストなどを行うこともあります。
突発的に生じた急性蕁麻疹の場合は、きちんと早期に内服治療を行うと1-2週の内服でぶり返しなく治まるケースが多いのですが、中には月・年単位で繰り返すような慢性蕁麻疹になってしまうケースもあります。慢性化させないコツとしては、内服薬で症状が治まってもしばらくは内服を継続して完全に治まってから内服薬をお休みしていくのが良いとされています。
慢性蕁麻疹で長年繰り返している方では、‘症状があるときだけ飲んでおさまったらお休み‘といった治療を繰り返しているとより難治になることも多く、良くなっても内服を継続してあきらめずにしっかり出ないように維持していことでいつの間にか治ることもありますのでぜひあきらめず継続治療を頑張りましょう。
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