【接触皮膚炎:せっしょくひふえん】
接触皮膚炎は特定の物質に触れたことで起こる湿疹を指します。
原因物質に触れた部位に、赤み、痒み、ぶつぶつ、水ぶくれ、ジュクジュクとした皮疹がくっきりと境界明瞭にみられます。刺激性のものとアレルギー性のものに分類されます。
刺激性の接触皮膚炎では、酸や毒性のあるものなどが触れた部位に生じるかぶれであり、どの方が触れても刺激になり症状が出る場合がほとんどです。
アレルギー性のものは、決まった成分に対して反応を起こすようになってしまった方が、その成分に触れた場所に症状が出るものです。ネックレスやピアスの金属が触れた部位や、湿布を貼った部位だけにくっきりとした赤みや痒みがでるものが典型的です。
まずは何よりもかぶれの原因物質の除去になります。
かぶれの場合は、直接肌に触れていたものが原因となっている場合がほとんどですので、症状の経過をうかがい原因を予測して除去できる場合は速やかに除去します。
湿布やアクセサリーなどを使った後にすぐに、その場所にくっきりとした症状がでるようなケースでは原因がすぐに見つかる場合も多いのですが、普段使っている思いもよらないものや、自覚なくお肌にふれていたもの(いつも使っている柔軟剤にいつのまにかかぶれるようになってしまった、散歩中に漆の葉っぱが触れていた、1か月以上前に貼った湿布など)が原因となっている場合もあります。また、水虫のお薬などは市販のお薬もかぶれやすいものがあったり、これまでつかっていた合うお薬でもいつの間にか合わなくなりかぶれの原因となっているケースもみなさんが思っているより多くありますので、市販薬などお薬を使っても症状がよくならない場合は漫然と使い続けずにぜひ早めに皮膚科専門医を受診されるようにしてください。
発症前の行動をじっくりと思い出していただきお話を聞くと、原因がわかる場合もありますので、問診の際には皮疹の生じた経緯を「これは関係ないかもな?時間をかけて話すのも悪いな」などと遠慮せず、ぜひ気になることがあれば詳しく教えていただければと思います。24年も皮膚科医をしていると、本当に思いもよらないものでかぶれていたケースも経験しておりますため、かぶれの可能性がある場合は、原因が何かないかと院長の方が熱くなってしまい詳しくいろいろと質問しすぎてしまうかもしれませんが、その時はぜひ温かい気持ちでお付き合いくださいませ。
症状に対しては、局所の炎症を抑えるためのステロイド外用剤や、掻き壊しが目立つ場合や悪化時には、痒みを抑えるために抗ヒスタミン剤などの内服薬を併用します。
じゅくじゅくと傷になってしまった場合は、弱った皮膚に細菌感染を併発させないようにシャワーでよく洗い流し清潔に保ちよくなるまで処置を継続します。
ひどいかぶれが長く続いている場合などは、原因物質が触れていない部分もふくめて反応性に全身に皮疹が広がっていくケースもありますので、その場合は全身の反応を抑えるために少量のステロイド内服薬を短期間で使うケースもあります。
強いかぶれでは、炎症がなおったあとの炎症後色素沈着がくっきりと焦げ茶色に残る場合もしばしばありますが、これは炎症の結果でありステロイドなどのお薬による副作用ではありません。色素沈着は炎症を繰り返さないようにして、紫外線を避けていると徐々に薄くなっていきます。症状がひどくなる前に早めに治すのが炎症後色素沈着を減らす一番のポイントですので、早めの受診をおすすめします。
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