【尋常性乾癬:じんじょうせいかんせん】
乾癬は慢性的に皮膚の炎症をくりかえす病気ですが、通常のサイクルよりも皮膚の代謝(ターンオーバー)が亢進しているため、炎症を起こしながら皮膚の一番表面の角質層が積み重なるため、がさがさとした角質がこびりつくような赤い斑点や、ぼろぼろと角質が剥がれ落ちる症状が目立ちます。欧米人では2-3%と頻度が高い疾患で、日本人では0.1~0.2%といわれており、昔は非常に稀な疾患でしたが近年食生活の変化とともに増加傾向にあり珍しい病気ではなくなっています。
コインくらいの大きさのガサガサがこびりついた盛り上がるような赤い斑点が、腕足体の機械的な刺激の受けやすい部位(肘膝、ベルトがすれる位置や臀部、すねなど)にばらばらとみられることが多いですが、いくつもが癒合して地図状に見えるケースもあります。稀ですが全身に皮疹がおよぶ乾癬性紅皮症という状態になることもあります。紫外線で症状が抑えられるため、顔面には症状が強く出ていないことが多いです。昔は、かゆみはない方が多いとされていましたが、近年では50%くらいの方でかゆみを伴っているといわれています。
乾癬にはいくつかの種類(尋常性乾癬・膿疱性乾癬・関節症性乾癬・滴状乾癬)がありますが、ほとんどの乾癬が尋常性乾癬にあたります。「かんせん」という言葉で、うつる病気というイメージがわく方が多いようですが、感染する病気ではありません。繰り返す皮疹で目に見えるため乾癬の患者さんの中にはほかの人から移る病気と誤解されつらい思いをされたり、生活の質が低下してしまう方もいらっしゃいますので、多くの方に乾癬はけっして感染する病気ではないことを知っていただきたいです。
炎症に対するステロイドの外用剤と、角化を抑えるためのビタミンⅮ3外用剤を中心に、紫外線による光線療法や、症状の程度により内服薬や重症例では生物学的製剤の注射薬を使う場合もあります。内服薬や注射薬では定期的な検査が必要なものが多く、適応になる場合は適切な施設との連携をとり紹介させていただくことになります。外用剤のみで反応が出にくい場合で症状が限局的な場合では、当院ではエキシマライトによる光線療法も行います。皮疹が全身など広範囲に及ぶ場合は、一度に大きな面積を照射できるナローバンドUVBによる光線療法がむいているため、必要な場合は連携をとって大きな施設を紹介いたします。
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