【脂漏性角化症・老人性疣贅:しろうせいかくかしょう・ろうじんせいゆうぜい】
脂漏性角化症は、中年以降から高齢の方によく見られる皮膚の良性腫瘍の一つです。お顔や頭部にできやすいイボ状のできもので、「イボができた」「シミが盛り上がってきた」などとおっしゃって来院される方が多いのですが、いわゆる「いぼ」ではなく皮膚の良性腫瘍の一つになります。黒っぽいできものとして自覚される方が多いため、ほくろや悪性黒色腫ではないかと心配される方もいらっしゃいます。
中年以降では珍しい症状ではありませんが、見た目が悪性黒色腫や基底細胞癌などの悪性腫瘍と似ているケースもあり、しっかりとした鑑別が必要なこともあります。気になる症状がある方は「こんな小さなできもので皮膚科にかかるのは…」などと思わず、ぜひ気軽に一度皮膚科専門医を受診してください。ダーモスコープという特殊な機器を使った診断が有用です。
顔面や頭皮などの紫外線の影響が出やすい部位に、わずかに盛り上がった茶色~焦げ茶・黒色のできものです。中年以降に多く見られ、若い頃に日焼けを繰り返した部位に40代以降急に増えてくる方も多い傾向があります。
シミも同じような部位に同じタイミングで増えてくる方が多いのですが、しみとちがってわずかに盛り上がっているのが特徴です。痛みやかゆみなどの自覚症状はありませんが、引っかかって傷ができたりこすれる刺激などで出血やかさぶた、かゆみを伴っている方もいらっしゃいます。
皮膚科専門医であれば、ダーモスコープという虫眼鏡のような特殊な機器をつかった視診で診断がつくことが多いのですが、場合によって見た目の診断だけでなく、生検という局所麻酔をして一部(3ミリくらい)切除して組織学的に確定診断を行うこともあります。
自覚症状もなく気にならないという場合はそのままでも問題ありません。盛り上がりが気になったり引っかかってしまう場合は治療をお勧めします。主に液体窒素による治療になりますが、切除による治療も行うことがあります。
液体窒素療法は簡便で負担も少なく、その場ですぐにできる治療です。マイナス196度の冷たい綿棒を当てるため軽い痛みが出ますが、自宅での処置ケアは必要なく、普段通りに過ごせます。
治療により数日から1週間くらいでかさぶたができ、それがはがれると一回り小さくなります。この治療を3〜4週に1回ほどの間隔でしっかりとれるまで数回くりかえすと治癒します。かさぶたがとれて治ったと思われても残存していると再び大きくなってしまいますので、皮膚科医による治癒の判断ができるまでは継続通院をおすすめします。
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