パジェット病

【パジェット病:ぱじぇっとびょう】

パジェット病は、アポクリン腺という汗腺に由来する悪性腫瘍です。アポクリン腺は乳頭や乳輪に多く存在し、乳房に発生したものを乳房パジェット病、そのほかの部位に発生したものを乳房外パジェット病と分類します。乳房外では陰部肛門周囲、脇の下などにアポクリン腺が多く存在し、その様な場所に乳房外パジェット病が好発します。

乳房パジェット病は、乳管をつたって乳房の深いところに浸潤することもあり、乳癌と同じ状態となるケースが多く、外科で治療を行うことがほとんどです。

皮膚科で治療を行うパジェット病は、ほぼ乳房外パジェット病になります。皮膚の最も外側にある表皮の中にとどまる表皮内癌の状態であれば、手術による切除で完治が可能です。発見が遅れた場合は深く進行していわゆる癌の状態になり、リンパ節転移や他の臓器への転移も起こる可能性があります。

パジェット病の症状

陰部や肛門周りや足の付け根、脇の下にできる傾向があります。初期は赤みやただれとして自覚されることが多く、湿疹や真菌感染などのよく見られる皮膚の炎症症状と区別がつきにくいのですが、外用剤での治療に反応がなく治療に対する反応がでないことが鑑別点になります。そのまま放置して進行すると、皮膚がかたくもりあがりしこりが発生します。

高齢者の陰部に治療しても治りにくい湿疹がある場合は、パジェット病も疑う必要がありますので、早めの皮膚科専門医の受診をおすすめします。

パジェット病の治療

パジェット病が疑われる場合は、病変の一部を切除して組織学的に診断を行う皮膚生検を行います。組織学的に確定診断がついたら、リンパ節転移や他の臓器への転移の有無などの詳しい検査を行い、腫瘍の進行度に応じて治療法を選択します。

手術による切除術、リンパ節郭清、化学療法、放射線療法など、年齢や病気の進行度に応じて選択し組み合わせて治療を行います。専門性の高い治療になりますので、パジェット病が疑われる場合は、適切な医療機関と連携をとり、速やかに診断治療を行っていただきます。

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