赤ら顔

【酒さ:しゅさ】

一般的に‘赤ら顔’として自覚される方が多い顔面の赤みの中には酒さという病気があります。酒さは、赤みやほてりが長期間繰り返し出現する慢性炎症性疾患です。

酒さの症状

初期に現れる症状は毛細血管の拡張による赤みですが、酒さは単なる毛細血管拡張ではなく炎症を伴う疾患です。炎症を伴うためその結果カサカサとした皮むけもおこると乾燥しているような自覚がでる方もいますが皮脂が過多になっている方も割と多くいます。慢性化してくるとニキビと間違いやすいブツブツや膿がみられたり、ひりひりとした痛みやかゆみを伴う場合もあります。まぶたや目の周りに強く症状が出る方では、まぶたの腫れや充血、まぶしさを感じることもあります。慢性化すると鼻瘤(びりゅう)といって鼻が肥大化する現象(日本人では稀)がみられる場合もあります。30代以降の方に多くやや女性に多い傾向があります。酒さと似た症状を呈する病気もいくつかありそれらは治療法もそれぞれ異なりますのでしっかりとした鑑別も必要です。

酒さの治療

酒さは、‘ただの顔の赤み’ととらえやすいのですが、他の病気と併存していたり複雑な要因で治りにくくなっている場合も多く、治療もそれぞれに応じて複雑で長期にわたり徐々に改善していくケースも多いです。例えば、湿疹と合併している酒さも多く、その場合、湿疹の治療でステロイド外用剤を用いたことで、湿疹が改善し隠れていた酒さが顕在化することでステロイドによる副作用(ステロイド酒さ)と診断されてしまうこともあります。複雑に絡み合った症状の場合、治療により症状が変化するため治療の反応を見ながらお薬を調整することが必要です。また、治療は長期戦になることも多いですので、治療をしていくうちに徐々に症状が変化・改善していくことも多いためきちんと症状を予測・評価し、それを皆さんにしっかりご説明しながら治療を行っていく必要がありますので、皮膚科専門医による診断治療をお勧めします。

酒さのお薬としては、2022年からメトロニダゾールという抗菌薬の外用剤が保険適応になり、副作用も少なく有効です。イオウカンフルローションなど昔から使われているお薬や、漢方薬、抗炎症効果を持つ抗生剤の内服を併用することもあります。

他に、レーザー・イソトレチノイン内服などの、保険外の治療も多く、保険外の診療ではそれらを組み合わせた治療を行うこともあります。当院では、これらの保険外の治療は行っておりませんが、アゼライン酸という、お顔の赤みや炎症に対して効果を示す成分のはいった化粧品のクリームを扱っています。

血管の拡張と収縮をくりかえしたり、温熱刺激の繰り返し、紫外線、香辛料・カフェイン・赤ワインなどの食事の頻度が高いこと、などは酒さの悪化要因ですので日常生活ではなるべく避けるようにすることをおすすめします。洗顔や化粧品のケアもこすりすぎず優しく行うようにしましょう。

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