トコジラミ(南京虫)

【南京虫:なんきんむし】

トコジラミは体長5ミリほどの吸血性昆虫でカメムシの仲間で、この虫に吸血されることで強いかゆみを伴う皮疹が生じます。トコジラミは夜行性で、昼間は畳の縁・ベッドやカーテンの縫い目の隙間・幅木や柱の割れ目や隙間に隠れています。夜になると動き出して、皮膚から吸血します。部屋を暗くするとでてくるので、診断には、夜に電気を消して横になり30分ほどしたら電気をつけると布団に虫がでてきているので虫が見つかれば診断がつきます。‘寝たふり作戦’による診断です。

トコジラミは旅行や宿直などの宿泊施設から自宅に持ち込んでしまうケースも多いのですが、トコジラミは冬の気温が低い時期には冬眠をしますので、冬は症状がでず春先から活動をはじめることで症状が出るというケースもあります。宿泊先にいたトコジラミが鞄などについて持ち帰った場合、ご自宅が気温が低い時期や環境だとそのまま冬眠して春先になって刺されるため旅行とのタイムラグがある場合もありますので注意が必要です。

トコジラミの症状

首や、腕足などの露出部を中心に、かなりかゆみの強い5-6ミリ前後の赤いブツブツが多発します。ひとつひとつはなおっても繰り返し夜間に吸血され新しい皮疹ができるため症状がなくならず繰り返すことが多く、トコジラミを退治できないと部屋の中で増殖して皮疹も露出部に限らずどんどん増えていくこともあります。

皮膚科医が診察をして明らかに虫刺されの症状であるにもかかわらず、ハイキングや庭仕事もしていないし虫に刺されるような機会はないとおっしゃる方が実はトコジラミによるかゆみだったということも経験しますので、その場合は前述した夜の寝たふり作戦をしてもらうこともあります。ただし、水疱症など他の皮膚疾患でも似た症状を引き起こすこともありますのでなかなか治らないかゆいブツブツ、虫刺されのように見えるけど虫に刺される環境にないな、という方は皮膚科専門医の受診をお勧めします。

トコジラミの治療

かゆみに対してはステロイド外用剤と抗ヒスタミン剤の内服を中心に治療をおこないますが、一つ一つの皮疹は治ってもトコジラミを駆除できないと繰り返し刺されますので、治療の一番大事なところはトコジラミの駆除になります。

近年、海外を中心に殺虫剤に耐性をもったスーパートコジラミが増えており、日本でも発見されています。スーパートコジラミにも有効な殺虫剤が発売もされていますので駆除もしっかり行いましょう。予防のために、旅行で鞄などにつけて自宅に持ち込まないようにも注意しましょう。

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