円形脱毛症

【円形脱毛症:えんけいだつもうしょう】

円形脱毛症は典型的なものでは文字通り円形の脱毛斑が頭皮にみられる疾患ですが、頭皮全体に多発して癒合して大きな脱毛斑となる場合や頭部全体に抜け毛が及ぶ場合、頭皮以外のまつ毛や眉毛、全身の体毛がぬけるタイプもあります。

円形脱毛症の原因

明確な原因はわかっていませんが、本来はウイルスや細菌などの外敵から体を守ろうと戦う免疫の働きがなぜか自分自身の毛を作る毛包周囲にむかってしまうとういう自己免疫疾患(自分で自分の体を攻撃して炎症を起こしてしまう病気)の一つとされています。

円形脱毛症の症状

脱毛のタイプにより、円形の脱毛斑がひとつできる単発型、円形の脱毛斑が多発する多発型、頭部全体に脱毛が及ぶ全頭型、全身の脱毛がみられる汎発型、生え際に現教区帯状になる蛇行型に分けられます。アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患、膠原病を基礎疾患に持っている方は円形脱毛症になりやすい方もいるといわれていたり、その他のかたでも遺伝的な体質を持っている方もいますが、まったくそのような素因がない方もいます。体質的になりやすい方では、繰り返し再発することもありますが、単発で繰り返さない方も多くいらっしゃいます。

全頭部型、汎発型、蛇行型は、通常のタイプに比べて難治になる傾向にあります。

円形脱毛症の診断

症状や、引き抜いた毛の毛根の状態、ダーモスコープという特殊な虫眼鏡をつかって頭皮の毛穴の状態を診ることなどで総合的に診断を行いますが、確定診断には皮膚生検といって皮膚の一部を小さく切除して病理組織学的に診断が必要になります。状況に応じて検査を組み合わせて行って診断します

円形脱毛症の治療

毛包周囲、毛包での炎症を抑えるために、まずはステロイド外用剤を中心に治療を行います。外用に反応しにくい単発か数個まで狭い範囲のケースではステロイドの注射剤を局所に注射したり、広範囲に急激に進行するタイプでは入院での点滴による短期高容量のステロイドパルス療法を行うこともあります。

血行を促すためにカルプロニウム塩化物の外用剤(フロジン液)をつかったり、毛包周囲の炎症反応を抑えるために-196度の液体窒素を含ませた綿棒による液体窒素による治療を組み合わせたり、紫外線を照射し免疫炎症反応を抑える光線療法も保険適応があり効果的な方も多いです。

頭部全体に広がる場合で、局所免疫療法というかぶれを起こさせることで毛包周囲の炎症を抑えるような治療をしたり、難治重症例では新しいJAK阻害薬という免疫炎症反応を抑えるお薬も登場しています。JAK阻害薬を使用中は定期的な検査が必要であり、重症例にかぎってつかえるお薬ですので、適応があると思われる方で使ってみたいという方には検査を含めてしっかりと治療していただける大きな病院と連携を取りご紹介させていただきます。

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