ニキビ

【ざ瘡:ざそう】

ニキビはおそらく、どなたも一度は経験する皮膚の病気です。若い方の症状と思う方も多いかと思いますが、実は「大人のにきび」や「ふきでもの」として気になっている方も実はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

とくに思春期のニキビなどは「病気」という認識が少なく、昭和の時代は「青春のシンボル」などといわれたように、皮膚科を受診される方もまだまだ少ない印象ですが、治療でコントロールが可能な皮膚疾患の一つです。

強い炎症が続くと、凹んだり盛り上がったりする消えない痕になってしまうこともありますので、ひどくなる前に定期的な皮膚科通院でコントロールしていくことがとても大切な病気の一つです。

ニキビのメカニズム

ニキビの始まりは、角質や皮脂が毛穴につまることです。毛穴の出口がつまり、奥から分泌される皮脂が中にたまることで、コメド:面皰(めんぽう)とよばれる状態になります。できはじめの段階は微小面皰というごく小さなつまりですので、見た目は普通の毛穴と変わらず、パッとみても何もないようにみえます。徐々に中に皮脂がたまってくると、白く(または肌と同じ色の)もりあがったぶつぶつとなり、患者さんでも自覚できるコメドになります。

コメドの中にはアクネ菌が存在しており、増殖することでさまざまな炎症の引き金が連鎖します。炎症を引き起こすと、赤く腫れていわゆる赤いニキビになったり、さらに炎症が広がることで膿が溜まって黄色いニキビになったり、毛穴の壁がこわれて周囲にも強い炎症が波及したりします。赤いぶつぶつや黄色いぶつぶつになると、いわゆる「ニキビ」として自覚できる状態になります。

炎症により赤く腫れたり膿をもったにきびは、一つ一つは治っても、できやすい部位の周りにたくさんの見えない予備軍であるコメド(面皰)がかくれています。別のコメドが赤く腫れたり、治ったりもしますので、症状を繰り返し治らないと感じられることが多くなります。

炎症がおちつくと、赤いニキビは平らになり、赤紫色や赤茶色の炎症後の色素沈着として治ります。平らになったら炎症は治ったということですが、炎症のダメージにより炎症後色素沈着・炎症後紅斑といった色味が残りやすい傾向があります。

見た目に色が残っていることから治っていないと感じられる方が多いのですが、炎症後色素沈着や炎症後紅斑は時間をかけて(6か月から1年くらい)徐々に薄くなり、色についてはいずれはほぼ消えることが多いです。ただし強い炎症が続くと、ニキビの痕が固く盛り上がったり凹んでしまう場合もあります。この状態を瘢痕(はんこん)とよび、なかなか消すことがむずかしく治療も困難を伴います。

拡大

ニキビは長期にわたって症状を繰り返す病気ですが、早期に治療をはじめることと、あきらめずに治療を継続していくことで、瘢痕にいたるニキビ跡をつくらないようにしていくことがとても大切です。近年は新しい外用剤も増えており、以前に比べるとかなりコントロールができるようになりました。

にきびはお肌の病気の一つですので、「にきびくらいで…」と思わず、ぜひ一度早めに皮膚科を受診をすることをおすすめします。肌の状態やみなさまそれぞれの生活環境に合わせて、塗り薬を中心に治療や普段のケアを組み合わせながら、あきらめずに治療を継続していきましょう!!

ニキビには、ご自身の肌質や環境(ストレスやホルモンバランスによる皮脂の過剰な分泌など)なども大きくかかわっています。決して不潔だからなるわけではありませんので、ニキビを繰り返すからと言ってご自身を責める必要は全くありません。ニキビはお肌の病気であり、治療を継続しコントロールすることが大切になりますので、お一人お一人の生活環境にあわせてなるべく無理なく継続できる治療の組み合わせを一緒に考えていければと思います。

ニキビの治療

ニキビ=見えない毛穴のつまり(コメド)から発生して炎症を繰り返す病気ということを考えると、治療の基本もわかってきます!つまり、、、

ニキビのもとである「コメド」を減らし、新しい「コメド」をできにくくしていくことが一番の根本

赤いニキビができてしまったら小さいうちに治して悪化させないこと。ずっとのこるような治りにくい大きな痕(瘢痕)にさせないようにすること

くりかえしはあるが、あきらめず治療を継続していくこと

この3つが柱になります。

外用剤(塗り薬)が治療の中心になりますが、漢方薬やビタミン剤も補助的に有効です。また、ひどい時期に短期間の抗生物質の内服を併用することもあります。

抗生物質の内服はご自身で効果をすぐに実感しやすく、アクネ菌が関与していたり赤く腫れて膿をもったりするため「ニキビは抗生物質が一番効くのでは?」と思われる方も多いかもしれませんが、現在の皮膚科学ではニキビは単なる感染症ではなく「コメドから始まる毛穴の炎症性の病気」ととらえられています。

そのため、抗生物質の内服は症状がひどい時期に短期間使用するにとどめる必要があります。長期にわたりご自身の自己判断で内服をすることは、耐性菌の問題や、病態の中心が感染症ではなく炎症であることを考えると、正しい使い方ではありません。

「飲み薬の抗生物質が一番効くので、それだけください」と来院される方がたまにいらっしゃるのですが、みなさまのお体のために、当院では医師の判断のもとで必要のない抗生物質の内服は処方できません。ニキビの治療方法や抗生物質の正しい使い方などをなるべくわかりやすく説明いたしますので、ぜひご相談ください。

治療の中心となるニキビの塗り薬には刺激が出やすいものもあり、「以前使ったことがあるが、刺激が強くてやめてしまった」という方もいらっしゃるかと思いますが、使い方を工夫することで徐々に慣れる場合も多いため、医師の判断のもと、お肌の状態にあわせて塗り方などを工夫しながら治療を継続し、ニキビをコントロールしていくことが大事です。

塗り薬を使い始めてすぐにコメドはなくならないこと、治った後もしばらく色が残ること、症状を繰り返すことなどから、治療効果をすぐに感じにくい方が多いかもしれませんが、継続することで徐々に効果が実感できます。

たとえば、3か月くらいで「赤く大きくもりあがるニキビができにくくなった」「赤いニキビはできるけど前より小さなニキビがふえてきた」などと感じられるようになったり、半年くらいで「平らな赤紫の色は残っているけど、触ると盛り上がっている赤いぶつぶつニキビの数は減ってきた」など、時間をかけて効果が実感できるようになる方も多くいらっしゃいます。よくなったと実感しても隠れたニキビのもとであるコメド(微小面皰)はのこっていますので、ぜひ外用を継続してみてくださいね。

洗顔などの普段のケアも大事ですので、診察の際に、治療薬とその使い方のコツに加えて、お一人お一人にあわせてより詳しくご説明します。

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